4月のソーシャルワーク基礎研修を受講した方より、感想を頂きましたのでシェアします。
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RJサークルの研修に引き続き、2度目の研修だった。
「馴染みのエイブおじさん」から、彼がこれまでどんな活動をしていたのか、そこから何かを学んでみたいという思いがあったからだった。
この研修に参加する前、私は約10年続けた精神科看護師を辞めた。理由としては、オーバーワークで過労がたたったことだったり、フルタイムで子育てとの両立が難しかったことだったり、本当にもういろいろなことが重なった。ストレスがピークに達した時、取り返しがつかなくなる前に、思い切って退職することにした。
これまで続けてきたことを、不本意なことで辞める瞬間は、何とも言えない後味が残った。そんな状態でも、我が子の底抜けの明るさが、私を救ってくれていた。
エイブおじさんこと山下英三郎さんは、30年以上も前に、アメリカから日本に初めてスクールソーシャルワークという概念を持ち込んだ人だ。不登校や引きこもりと言われる子どもたちの傍に居続けて、居場所づくりもしてきた。今やその存在はこの業界ではレジェンド的な扱いをされるまでだけれども、彼は『先生』と呼ばれることを嫌い、『おじさん』と呼ばれることを好む、腰の低い不思議なおじさんだった。
親子ほど歳の離れたおじさんは、私の大事な友達の1人だ。出会った頃はまだ子どもだった私を、おじさんは一度も子供扱いをしたことはなかったし、人として尊重してくれていた。
社会人になってから、私自身も、不登校や引きこもり支援も行ってきたけれど、看護師である自分が、不登校の子どもたちに関わるにはどこか物足りなさを感じていた。発達障害がベースにあるような子どもたちの支援が多かったけれど、医療というよりももっと手前のところで支援ができたんじゃないか。投薬という治療的介入ではなくて、環境調整という形でなにかできることはなかったのか。そんなことをグルグルと考えることが多かった。
今回ソーシャルワークを学んでみて、自分の感じてきた物足りなさは、ここに答えがあるような気がした。
ソーシャルワークは、個人的な問題としてフォーカスしてしまいがちなことも、とてもエコロジカルな視点で問題解決を図っていく専門性の高さがある領域だ。その人を取り巻くあらゆる要因のひとつひとつに目を向けて、問題があればそこに焦点を当てて解決をはかっていく。
不登校の子どもたちに向き合う時、おじさんは子どもたちの声にしっかりと耳を傾ける。学校に行きたければ応援するし、行きたくなければ違う選択肢があることを示す。
学校に行かない選択をした子どもたちに、おじさんは
「これから違う世界が待ってるかもしれないよ。そっちの方が案外いい世界かもしれない。」
と声をかける。
そのフレーズがなんとなく心に刺さって、私にもこれから違う世界が待ってるのかもしれないな、と思った。
ひとつの生き方しかないわけじゃない。いろんな生き方をしてみよう、
そんな風に思えた研修だった。
3日間ある研修もあっという間に過ぎていく。
美味しいご飯を食べて、語り合い…
今回も良い出会いに恵まれた。
最近おじさんは自宅隣の土地をもらったらしい。
腰が痛いみたいだから、
次は木こりをしに遊びにいくね。